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2025年3月27日
化石燃料と気候変動にはどのような関係があるのでしょうか?
化石燃料が燃焼されると、大量の二酸化炭素(CO₂)などの温室効果ガスが大気中に放出されます。これらのガスは地球の大気中に熱を閉じ込め、地球温暖化を引き起こします。すでに世界の平均気温は産業革命前と比べて1℃上昇しており、2024年には初めて1.5℃を超える月平均気温が観測されました。これを上回る温暖化が続けば、海面上昇、異常気象、生物多様性の損失、種の絶滅、食料不足、健康被害、そして貧困の拡大といった深刻な影響が全世界に及ぶと警告されています。
化石燃料とは?
化石燃料は、数百万年前に死滅した動植物などの炭素を含む有機物が、地中深くで分解・圧縮されて形成された燃料です。エネルギー源として燃やされることで大量の炭素を排出します。再生可能ではなく、現在、世界のエネルギーの約80%を供給しています。また、プラスチックや鉄鋼など多くの製品の原料としても使われています。主な化石燃料には、石炭、石油、天然ガスの3種類があります。
気候や地球環境への影響はどのくらい大きいのでしょうか?
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、化石燃料の燃焼による排出が地球温暖化の主要因であると結論づけています。2018年には、世界のCO₂排出の89%が化石燃料と産業活動に起因していました。
石炭は最も汚染性が高く、1℃の温暖化のうち0.3℃以上は石炭に起因しています。これは温暖化への最大の単一要因です。
石油は燃焼時に膨大な炭素を排出し、世界全体の炭素排出量の約3分の1を占めています。さらに近年、複数の大規模な石油流出事故が海洋生態系に深刻な被害を与えています。
天然ガスは、石炭や石油より“クリーン”とされることがありますが、依然として化石燃料であり、世界全体の炭素排出量の約5分の1を占めています。
私たちは今後も化石燃料を使い続けられるのでしょうか?
IPCCは、気温上昇を1.5℃以内に抑えるためには、今後11年以内に化石燃料由来の排出を半減させる必要があると警告しています。
2015年に採択されたパリ協定では、世界各国が炭素排出の削減に合意しました。しかし、国連環境計画(UNEP)の最新報告では、各国の政策がこのまま続けば、2030年時点で必要量の2倍以上の化石燃料(石炭・石油・天然ガス)が生産される見通しであるとされています。つまり、現状では目標達成は困難であり、さらなる取り組みが必要です。