ClientEarth
2026年2月3日
気候変動に関連するリスクを特定し、適切に管理することは、日本の企業の取締役にとって、「会社の利益のために行動する」という義務の範囲を大きく超えたものだと考えていないでしょうか。
気候リスクが世界的に深刻化するなか、これをガバナンスの実務に組み込むことは、単に規制対応を満たすためだけのものではなく、企業の存続そのものを左右しかねない、経営上きわめて重要な課題であり、重要な法的責務として位置づけられつつあります。
取締役は、機関投資家や市場を誤導すれば、レピュテーション上の損害を免れません。同様に、気候リスクの監督不備を放置すれば、事業上の重大な支障につながり得ます。だからこそ、必要な対応を徹底し、改善すべき点は速やかに改善する必要があります。気候リスク管理を、単なる開示・報告義務のコンプライアンスのみに矮小化すべきではありません。
会社法や民法の枠組みに照らすと、取締役には、会社の最善の利益に沿って行動し、法令を遵守し、善管注意義務をもって職務を遂行することが求められます。
気候変動に関連するリスクに対して十分かつ合理的な対応を行わないことは、こうした取締役の基本的な法的義務との関係で、問題となり得ます。
端的に言えば、気候ガバナンスを軽視することは、会社そのものを軽視することに等しいと言えます。
法的・規制上の圧力が高まるなかで、気候リスクは「重要性の高い経営リスク(経営に実質的な影響を与えるリスク)」であり、取締役会レベルのガバナンスおよびリスク管理の中核に据えられるべきものであることが、より明確になっています。これらのリスクを特定せず、管理せず、また適切に開示しないことは、取締役の義務違反となり、取締役個人がその責任を追及されることにもなります。
こうした取締役の義務は、金融庁をはじめとする当局による監督強化によって、さらに後押しされています。当局は企業のリーダーに対し、実効性に乏しい対応や象徴的なESGの姿勢にとどまるのではなく、より実質的なガバナンスへと踏み込むことを求めています。
取締役および取締役会は、もはや次の点を怠ることはできません。
これらのメッセージは、もはや明白です。必要な対応を怠った取締役は、会社だけでなく、自らも訴訟リスクや規制当局による監督強化のリスクにさらすことになります。
気候リスクへの不作為は、単なる「監督ミス」では済まされません。現実に追及されるのを待つだけの法的責任」なのです。