日本における株主提案権をめぐる会社法改正の動向について
.PDF | 341kb
投資家ガバナンスへの影響の可能性を分析
近年、日本では株主提案や議決権行使をめぐる制度見直しが進められており、投資家と企業の関係に影響を与える可能性がある会社法改正の議論が続いています。
クライアントアースは、日本の会社法改正に関する現在の議論について整理したブリーフィング資料「Minimum shareholding thresholds(株主提案権に関する最低保有要件等)」を公表しました。本資料では、株主提案権の要件や株主総会における議決権行使のルールの見直しに関する複数の提案を取り上げ、それらが投資家の権利行使や企業統治に与え得る影響を分析しています。
主な分析ポイント
l 株主提案権の大幅な制限(300個要件の廃止・引上げ): 現行の「300個」要件が廃止され「1%以上」に制限された場合、時価総額1兆円超の企業では100億円以上の保有が必要となり、国内外の機関投資家による提案が著しく困難になるおそれがあります。
l 株主が議論を行う場としての株主総会の形骸化: 事前投票のみで決議成立を認める制度(議決権事前行使による決議成立制度)の導入案は、総会当日における株主の質問権や修正動議の機会を軽視し、建設的な対話の場を失わせる懸念があります 。
l 不平等な制限の加速: 株主による勧告的決議が認められない現状のまま、業務執行に関する定款変更の提案のみを制限することは、会社側と株主側の不平等をさらに拡大させる可能性があります 。
クライアントアースは、効率化や企業負担の軽減という目的が掲げられる一方で、株主総会が形式化し、投資家によるガバナンス関与が弱まるおそれがある点について懸念を示しています。
本ブリーフィングでは、現在検討されている改正案の内容と、その背景にある課題、そして投資家の権利行使への影響について整理しています。