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2024年1月24日
2024年1月24日 — 気候分析を専門とする非営利団体TransitionZeroと、気候・エネルギー・環境法などを法的に支援する非営利団体クライアントアースは、東南アジアの政策立案者および規制当局を支援するため、新たなパートナーシップを締結したと発表しました。この協働は、TransitionZeroのデータおよびモデリングの専門性と、クライアントアースの法制度および規制政策に関する知見を組み合わせることで、地域のエネルギー転換を後押しするための制度的・分析的支援基盤を構築することを目的としています。
このパートナーシップでは、東南アジア地域における低コストの再生可能エネルギーへの転換を目指す政策立案者に対して、法的専門知識と技術支援を提供します。TransitionZeroが開発したFuture Energy Outlook(FEO)やCoal Asset Transition(CAT)といったモデリングツールと、クライアントアースの法制度構築支援を組み合わせることで、公正で資金動員可能なエネルギー移行計画の策定を支援します。
この連携の本質は、一方的な支援ではなく、現地政府や関係機関の能力強化(キャパシティ・ビルディング)を目的とした取り組みにあります。TransitionZeroは、政策立案者がFEOやCATのようなオープンアクセス型モデリングツールを自律的に活用できるよう、研修プログラムを提供します。トレーニング後は、クライアントアースおよびTransitionZeroの専門家が必要に応じてサポートし、ツールを通じて得られた知見が投資家や市民にとって実現可能で信頼性の高い移行計画へとつながるよう伴走型の支援を行います。
現在、両団体はフィリピンのエネルギー省と連携し、再生可能エネルギー政策の強化、石炭火力発電所のリファイナンス戦略、ならびに電力インフラに関するモデル分析の実施を支援しています。これらの取り組みは、クリーンエネルギー転換に必要な投資ニーズと制度的ギャップを可視化することを目的としています。
TransitionZero CEO兼共同創設者のマット・グレイ氏は、次のように述べています。
「法的および規制の枠組みによってシステム変革を推進するクライアントアースの献身的な活動は、当社が担う経済分析・ファイナンス分野の知見を強力に補完するものです。私たちは、政策立案者が国家レベルで効果的なエネルギー転換計画を策定・実行できるよう、モデル分析、法制度、規制枠組みの側面から支援してまいります。」
クライアントアース アジア・エネルギーシステム責任者であるピーター・バーネット氏も次のように述べました。
「このパートナーシップは、科学的根拠に基づく移行戦略の策定に向けて、質の高いモデリングデータと法的知見を組み合わせるという私たちの姿勢を体現するものです。TransitionZeroとの協力を通じて、再生可能エネルギー開発と投資のための信頼性の高い規制枠組みの整備を支援していきます。」
フィリピンエネルギー省次官 ロウェナ・クリスティーナ・ゲバラ博士は、次のようにコメントしています。
「フィリピンのエネルギー転換は、持続可能で強靭な未来を築くための変革的な一歩です。この野心的な挑戦を成功させるためには、政策・規制の実効性を高めるための科学的・法的専門知見との対話と連携が不可欠です。私たちは、データに基づく厳密な分析を歓迎し、実装可能な政策の設計に活かしていきます。」
(フィリピンにおける規制への取り組みについては、こちらの記事をご覧ください。)