ClientEarth
2025年5月20日
日本企業の取締役にとって、もはや気候関連のリスクをないがしろにはできません。
Commonwealth Climate and Law Initiative(CCLI)による報告書において、次のように述べられています:
気候関連リスクを特定・管理しなかった取締役は、日本の法律に基づき、自らの法的義務に違反したとして個人的責任を問われる可能性があります。
これは、政策論やESGの話にとどまらず、法的義務として、ビジネスの存続に関わる重要な課題です。
日本では、2050年までに最大で952兆円の気候関連財務損失が発生する可能性があります。主要産業はすでに、極端な気象現象やサプライチェーンの混乱といった影響を受け始めています。
一方で、日本の機関投資家の85%以上がサステナビリティデータを投資判断に活用しています。気候ガバナンスを軽視する取締役会は、規制当局の監視を受けるだけでなく、投資家からの信頼と資本を失うリスクがあります。
早期に行動を起こした取締役会は、財務・評判リスクを軽減し、市場からの信頼を維持することができ、長期的な企業価値の向上につながります。
気候リスクへの対応は「選択」ではなく、取締役の「義務」です。
補足:法的責任に関する説明
この報告書は、日本の会社法における取締役の「善管注意義務」および「忠実義務」の解釈に基づき、気候関連リスクへの対応を怠った場合の個人的法的責任の可能性を指摘しています。
👉 CCLI報告書を読む(英語)
『Directors’ Duties & Climate Change in Japan: 2025』